実態的巻駆動

2016年04月02日 新製品の実態!



「ガリが無い!」

昨日のエイプリルフール・バカネタとして新製品を発表しましたが・・・。実はオーバードライブ・ペダルとしてちゃんと作動します。以下に製作工程をじっくり書いてみました。お好きな方はご覧くださいませ。

開発コードネーム「KANKUDO」・・・。遡ること3週間前のこと、サンディエゴから来日されていた Dr. Hubert Staiudigel の東京観光をお手伝いしていた時のことでした。料理が好きだと聞いたので、浅草かっぱ橋道具街をご案内しました。


Dr. Hubert Staudigel

かっぱ橋道具街は、プロ用のキッチン用品に溢れていて料理好きにはたまらん場所です。「料理人のデ◯ズニーランド」とも言える場所ではないでしょうか。もちろん、日本名物「フェイク食品」つまり食品サンプルもたくさん販売されています。海外からのお客様は日本に来て食べたばかりの握り寿司が、見事に再現され並べられているので、大喜びされますね。そして、その品揃えにもビックリ!

観光客の喜びとともに、実は私自身も食品サンプルは大好きで眺めているだけで嬉しくなります。そしていつの頃からでしょうか・・・。食品サンプルを使ったペダルは作れないものかと考えるようになりました。いくつかデザインを考えたことがあり材料もある程度揃えたのですが、今ひとつノリが悪くさらに仕事にも忙殺されて完成には至りませんでした。しかし、その思いは常に頭の片隅に棲み続けていたのです。

Hubert とかっぱ橋道具街を歩いていた時のこと、食品サンプルのショップに立ち寄りました。店内を一周するうちにふとある思いがこみ上げてきました。今まで「フルーツサンプル」や「にぎり寿司サンプル」を使ったペダルの製作を構想し続けていたのでなかなか実現できないのでは?とね。その時目の前にあったのは「巻物」のサンプル食品。

たくさんある巻物の中からサイズを見つつ選び出したのが以下の四種類。「鉄火巻き」「かっぱ巻き」「お新香巻き」「サーモン巻き」こいつらであれば、なんとかコントロールノブとして活かせるのでは?と思いついたのです。まずはテストしてみようとすぐに購入を決定!それぞれ二個買って合計で「えっ?そんなに?」と一瞬躊躇する結構な値段になりましたが・・・食品サンプルは結構高いんですよ〜!



Hubert に私の企てを話したところ「ほんとに作るの?面白そうだね〜!完成したら写真を送ってね!」と期待されてしまいました。ということで、後に退けない立場になった私は、数日間頭のなかで構想を練っていましたが・・・。まず最初に壁となったが、巻物サンプルをどうやってノブとして仕上げるかってこと。

加工方法をいくつか考え、ようやく結論にたどり着いたので加工を開始しました。まず「巻物」の裏面のセンターを出し、そこに直径12mmの穴を卓上ドリルで開けます。材料が柔らかいので、いきなり必要サイズまで加工はできないのですよ。その後、本物のノブを埋め込めるサイズ15mmまでカッターナイフを使って削り込みます。加工を始めた途端にかなり面倒でちょっと後悔しましたが・・・もう後には退けないのです!そのままじっくり作業を続けて行きました。机の周りは削り屑だらけ!



開けた穴のサイズを確認しつつ、微調整を何度も繰り返しました。少しでも削り過ぎるとその瞬間に使えなくなりますのでね。そして、納得したところで、巻物の穴の内側に業務用の強力瞬間接着剤を塗りつけ一気にノブを差し込みました。そのまま一分ほど押さえておくと、しっかり固定されます。これで外観が巻物のコントロールノブが八個完成!二度とやりたくない作業ですがね!でも、コレができれば、ほとんど計画の半分は終ったも同然です。

次にケースのデザインです。ノブが通常よりデカイのでケースもそれなりの大きさが要求されます。数年前に、サイズを間違えて発注したケースが残っていましたので、そいつを再利用です。しかもポリッシュ仕上げなので豪華ですね。



慎重にノブ位置とフットスイッチの位置を決め込み、Macで製図。原寸でプリントアウトした製図をアルミケースに貼り付けて、位置関係の最終確認を行いました。ノブが四角なので、回転させても干渉しないかを確認後、電源ジャック、インアウトジャック、モード切替スイッチの位置も決め込みました。




内部の配線位置も考慮して、最終的にLEDの位置を決定し、それぞれのセンター位置にオートポンチでマーク。コレでもう元には戻れませんね。卓上ボール盤で一気に穴開けを行いました。サイズがでかいケースなのでちょっと手間取りましたがね。



穴が開いたところで、確認のためにすべてのパーツを仮止めしてみます。それぞれのパーツの干渉が無いのを確認して、次へ移りました。「巻き寿司」をテーマにしたのですから、ケースもそれに合わせましょう。寿司を乗せる「づけ台」をイメージした木目のTOP面にします。前面と後面も同じ木目です。白い粘着シートに木目をプリントアウトし、透明カバーを貼りこんで保護。必要サイズにカットしてケースに貼り付けます。ポリッシュケースなので綺麗に貼り付きますね。



実はこの時点で、計算違いが発生!当家に在庫があると思っていたポットのうち2種類が使いたいものと違っていると気づきました。慌てて発注!コレで2日間の作業停滞が生まれました。まあ急ぐ旅でもないので、じっくり楽しむこととしますか・・・。意外にも、ショップの手配が早くて翌日午前中には材料が届いてしまいました〜!

そんな時に限って、通常のオーダーも入ってきます。当然、オーダー分の製作が優先されますので「巻駆動」はしばし作業停止〜!はい!オーダー分の作業が終わりましたので、作業続行です。こういうものは最後までたどり着かないとどうも落ち着かないですね。



パーツを取り付け、内部配線も順調に進行。回路基板も取り付け作業完了!回路自体は、ほぼ「弾駆動 TWIN CUSTOM」です。一部微妙に変えてありますがね。サウンドチェックの結果、問題なし。というか「よく出来てまんなあ!」と自画自賛でした。

では仕上げに、巻寿司をノブとしてセットして仕上げましょう。はい!セット完了!




ところが・・・ところがです。どうしても気に入らないことが発生してしまいました。「づけ台に乗った巻寿司」という観点から眺め直すと・・・どうも寂しいのです。そう!私は気づいたのです。フットスイッチが二つ飛び出しているのは、ペダル機能的に必須ですから見て見ぬふりが出来ます。しかし「ガリが無い!」と気づいたのですよ。どうにも欲しいのです。しかし!ペダルなのに「ガリ」が欲しいとは何たる矛盾・・・。

では!ガリ探しを行いましょう!幾つもの食品サンプルのサイトを渡り歩いて候補を探しました。500円程度から1,000円程度まで数種類見つけました。ピンクっぽいガリ、着色無しのガリ、大きいもの、小さいもの、その中から候補を選びます。するとひとつの候補がサイズ的にイケるうえ、ネオジムマグネットが下面にセットしてあると書いてありました。おおお〜〜〜これは〜〜〜!!!


リアルサイズ白花ガリマグネット

実はガリをTOP面にセットするにあたり、特定の機能を持たせることは出来ません。しかも、二つのフットスイッチのセンターにセットせざるをえないので、ヘタするとスイッチを踏む際に、固定したガリを蹴飛ばしてしまう可能性があります。ネオジムマグネットがガリの下面にセットされているのであれば、ケース内に鉄片をセットすればそれにくっつけてセットでき、ペダルとして使う時は簡単に外すことが出来ます。これは良いですね〜〜〜!!!さっそく発注!送料を入れて1,568円!本物のガリに比べたらべらぼうに高いけど・・・。ここまで来たらショウガないっす!

うまいことに、ガリを乗せるちょうど真下には電池を固定するための鉄製電池クリップがセットされているので、それにくっつくことが期待できます。もちろん事前に、自宅内にあるマグネットで試したところバッチリ!さあこれで「リアルサイズ白花ガリマグネット」が届けば仕上がりです!入手まで五日間程掛かるようです。じっくり待ちましょう!


早くも2日後に「リアルサイズ白花ガリマグネット」が届きました!さっそくセットしてみましょう!おおお〜〜〜まさに私が想定していた全体像です!堂々の完成であります!




ペダルとして使う時は、ガリを外します。磁石でくっついているだけなので、取り外しはとても簡単!


本日の結論
4月1日用の悪乗りで製作したペダルですが・・・追加製造予定なし!

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